お絵描きに於ける「自分で描きました度」の段階とか(2005/10/25)
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まつい
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漫画家のトレース作画で盗作疑惑とか何とか言われているので、それにちなんで思うことを、ちょこっとだけ記述。
つっても、コラージュだってセンスが重要ですし、原画と色塗りと装丁とで別々の人が担当することもあるので 一枚絵の完成度とか著作権だの盗作だのについては言及せず、どのへんから「自力で絵を描いた」ことになるのか、とゆーことだけ。
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No.13
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まつい
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(0)描かない
何も生み出されません。著作権問題など発生する由もありません。
(1)トレース
元の絵に似たモノが、元絵の作者の労力+自分のわずかな労力によって製造されます。 敢えて「生み出される」とは呼ばづ。
元の絵をなぞることなので、理論上は元の絵とそっくりなモノが出来上がるはずですが、 2D絵は筆致(ペンの勢い)もけっこう大事なので、トレースでは雰囲気がイマイチになりがち。 同じ人が下描きとペン入れを行う場合、この限りではないですが。
トレースを行う際、描き手の脳は「鉛筆の先端の近辺」にのみ注意を払えば良く、 全体像をイメージする必要はありません。 まー、全体像をイメージできない/しないのなら、「自分で描いた絵」とは言えないと思います。 ほぼ全面的に元の絵に頼った描画であり、元絵なしに自力だけで描くことはできないですから。
(2)模写
元の絵を横に置いて、それを見ながら同じような絵を描くことです。 元の絵に似たモノが、元絵の作者の労力+自分の多少の労力によって製造されます。
トレースよりは難しいですが、元の絵と自分の絵とを何度も何度も比較し修正を重ねていくので 最終的にはかなり出来映えが良くなるケースが多いようです。
模写を行う際、描き手の脳は「今描いている線の近辺」という狭いエリアにのみ注意を払えば良く、 かつ全体像でなく、部分部分の線の長さ・角度・太さ・曲率といった「幾何学的特徴」のみを真似ることで、 大体同じ絵とすることが可能です。
元の絵と見比べて全体を修正する場合もあるので、全体像を全くイメージしないわけでもないでしょうけれど、 自力のみで描くことができない以上、「自分で描いた絵」とは言えないです。
あとこの方法は、パイの薄皮を重ねて厚みを出すが如き労力が必要で、いわゆる「一発描き」とは対極をなすモノです。 一発描きも善し悪しですけど。
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No.14
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まつい
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(3)元の絵を時々見て真似る
これも模写といえば模写ですが、絵を描いている時間の大半が「参考資料無し」ならば、 その絵の製造過程に於ける自分の脳の処理割合は、けっこう高いことになります。 基礎的な部分は自力で、服とか街並みとかを参考資料に頼るという程度なら プロでも普通に許される範囲だと思います。
(4)何度かじっくりと見た絵を、記憶だけで描く
ここからが「自分で描いた」ことになるレベルでしょう。 レイアウトやデザイン面はパクっていることになりますが、それ以降の実作業については 自分の脳でイメージした画像を自分の手で紙に転写しているので、 絵の製造過程の大半を「本人が担当している」ことになります。
楽器演奏に例えるなら、立ち読みした楽譜を思い出して弾く感じかな。
(5)ちょこっと見た絵を、記憶だけで描く
元の絵を参考にしているとはいえ、多分にアレンジの要素が入ると思います。
楽器演奏に例えるなら、書店とかで聴いた曲を耳コピーのみで思い出し、 適当に装飾して聴かせる曲にして弾く感じ。 メロディもコード進行もパクリなのは変わりませんが。
ちなみに4小節くらいまではまるまるメロディを同じにしても許されたと思うので、 マンガも4コマまでは真似してオッケー・・・と、それじゃ4コマ以下のマンガの立場がないか。 じゃ、フキダシ4こまでとか。
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No.15
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まつい
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(6)実物や写真を見て、自分の絵柄にして描く
動くモノを見て静止画を描いたり、静止写真を見て動かしてアニメーションにするのなら 創作だと思います。 写真を見て、頭の中で違う角度に変更して描くのも、自分で描きました度が高いでしょう。
角度から陰影から装飾まで全部同じに描くのは、模写とかトレース。
過去に読んだ本と全く同じ内容にスパイスを振りかけただけのモノはインスパイア。 模写と同義語の方の。
(7)音や色や言葉などから印象を受けて、それを絵にする
これは普通に創作でしょう。絵を見て曲を作りました、とゆー感じの。
(7)’何となく思ったモノを絵にする
本当に自分でイメージしたモノを描いているのなら創作。 過去に読んだ本と全く同じ内容を無意識にイメージしてスパイスを振りかけただけのモノはインスパイア。
(8)一切の外部情報に触れず、自分の頭の中だけで考えて描く
著作権問題が発生しないという点では理想と言えば理想ですが、 実物も写真も他人の絵も何も見ちゃダメとなると、 絵を描く瞬間以外の人生を「目をつぶって過ごす」必要があり、 文化的な生活は困難といふことになるでしょう。
結論としては、絵描きを名乗るなら、「他人の絵への依存度が高い」方法で生み出した絵を 自分の手柄よろしく語ってはダメ、ってとこかな。 絵描きを目指していて、且つ謙虚な姿勢なら(1)〜(3)もオッケー。
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No.16
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