テーマとか | 備考 |
■はじめに キャラクターに骨を仕込んだはいいが、イマイチ思うように変形してくれないことはよくあります。 ちょっとした調整で改善できる部分と、モデルデータ修正込みで調整する部分と、 どうやっても無理な部分があります。 その辺を把握しつつ(諦めるところは諦めつつ)工夫を重ねて綺麗変形を極めたいところ。 ■きほん ・真っ直ぐ割り線を作って、真っ直ぐBOXを仕込む ・アンカーBOX交差領域は若干深め(太さと深さを同じくらいにするのが目安) ・ボーンのピボットとアンカー交差の中間点を同じ位置にする ・上記ピボットが関節部分の中央に来るようにする |
■難易度低 膝とか足首とか ・1方向にしか曲がらない ・曲がりもねじりも範囲が小さい ■難易度高 肩関節と股関節 ・前にも後ろにも横にも曲がる ・しかもねじり角度が大きい |
■てきとーに設定してもかなり綺麗に曲がってくれる部分 Mikotoのsdef変形を使う分には、肘とか膝の単純変形はひっじょーに綺麗に曲がってくれます。 綺麗に曲がらないのは、軸やアンカーBOXの位置がずれている可能性が高いです。 既存骨組みセットにプロポーションの異なるキャラを読み込んだ場合などは、ちゃんと微調整しないとずれます。 |
■用語 sdef変形:曲げ部分がつぶれにくい、Mikotoの 変形アルゴリズム。スフィリカルデフォームの略称。 非常に優秀で、てきとーに組んでも綺麗に曲る。 一つの頂点に対して3つ以上のボーンには関連づけが 出来ないのが大きな欠点。 bdef変形:曲げ部分が普通につぶれる、Mikotoの 変形アルゴリズム。ボーンデフォームの略称。 sdef変形と異なり、どう頑張っても綺麗には曲がらない。 sdef設定をしたつもりでも、3こ以上のアンカーBOXが 重なっていると問答無用にbdef設定に切り替わる仕様。 プリーツスカートとか、アンカー密集が避けられない場合 割り切ってbdefで組んでしまう場合もあり。 |
■ちょっとした調整で改善できる部分(1) 上の(1)と重複する内容でもあるのですが、腕とか脚とか指といった筒状の部分に骨を仕込む場合、 なるべく筒の中心に骨を置くようにすると、変形が崩れにくくなります。 心がけとしては、人体としての整合性より、ボーン変形の綺麗さを優先する感じ。 胴体の骨(脊椎)は、実際には30個程度のパーツで出来ており、かつ背中側に寄っていますが Mikotoボーンとしては2本か3本でしかも胴体中央部付近に仕込む方が綺麗に変形します。 背中側に仕込むと、腹側がへこみすぎて不自然になります。 |
■人体としての整合性よりも 実物の人体は、骨の周りに筋肉とか脂肪があって、 内側からの圧力を皮膚が押さえ込んでいます。 それに対して3DCGボーン変形は、骨が皮膚を 直接引っ張ります。変形時に各種補正をかけて 人体みたいに見えるようにしているだけで、 基本的な仕組みが生楽器と電子楽器の如く 異なります。 なので、肩の力を抜いて、電子楽器や3DCGで 表現できる範囲で頑張りましょ、てとこ。 |
■ボーンとアンカーBOX調整で改善できる部分(1) ねじり耐性を上げるには、縦方向を多めに割り、且つアンカーBOXの交差領域を深めに取ってやります。 広い範囲でねじりを吸収することになるので、ひしゃげにくくなります。 |
■胴体とか 回転方向のひしゃげだけでいえば、胴体は 胸+腰の2ボーンの方が、胸+腹+腰の3ボーンより 綺麗に変形します。 3ボーンだと、交差範囲をあんまり深くできないので ひしゃげがちになります。 |
■ねじり部分の割り列はなるべく直線的にする ねじられる部分のアンカーBOXは複雑な形状よりもまっすぐな列にした方が、均等っぽく変形してくれます。 ■具体例 タンクトップとパンツ 逆三角形のムキムキ筋肉な人でも、肋骨とか胸骨は涙滴形をしているので、 肋骨(動かない部分)と腕(動く部分)を等分割する感じに割ります。 また腰のあたりはパンツラインに沿って、動かない部分と動く部分を分けます。 |
■逆三角形シルエットは ガタイの良い人は、鎖骨+肩胛骨と腕・胸・背中の筋肉がイイ感じに外側に張り出しているため、逆三角形シルエットになります。 |
■モデルデータ修正込みで調整する部分(2) 伸びる方向の曲げ耐性を上げるには、横方向を多めに割り、且つアンカーBOXの交差領域を 少しだけ深めに取り、曲げてもあんまりカクカクにならないようにします。 しかし縮む方向の曲げ耐性を上げるには、割りを多くしない方がひしゃげにくくなります。 アンカーBOXの交差領域も浅めの方が、ひしゃげの原因となる凸凹を含まなくなるので結果的に良いです。 理想的には直線一列のみ。2頂点間は絶対に直線になるので、決して凹まない。 |
■曲げとねじりの共存は 交差領域が深すぎると、曲げが思うように いかない場合もあります。 交差が浅すぎると、ねじり方向で破綻します。 筒の太さと交差領域の深さが同じくらいが 落としどころっぽい。です |
■モデルデータ修正込みで調整する部分(3) そうはいっても、体全体のポリゴン数が結構多い場合、関節の内側だけローポリで直線的にすると 見映えが悪くなってしまうので、蛇腹ボール割りを使って、積極的にひしゃげを回避します。 曲げ中心からの距離の違いが、折りたたんだときの凸凹の原因になるので、なるべく中心からの距離を 揃えることで、折りたたまれても凸凹しないようにする、というもの。 |
■ボール割り Mikotoのsdef変形は、関節を曲げたときに 曲げ中心から頂点までの距離の違いを吸収するよう 補正をかけているっぽいので、完全なボールだと むしろ膨らみすぎます。 モデリング時に「ボールっぽく膨らませる」ことを すこーし意識するくらいが程良い感じ。 |
■ボーン追加による曲げ角度の分散 肩に対して有効な方法です。上腕だけで腕を持ち上げるのではなく、鎖骨も入れることで、 それぞれの曲げ角度を小さくしてひしゃげにくくする方法。 試しに2004年前期型のボデヒ(鎖骨なし、背骨も2軸のみ)に現行アンカー(鎖骨あり、背骨3軸)を入れてみました。 胴体に対しては、上体部分のボーンを2本にすることで、ボーン1本あたりの曲げ角度を小さくするといふモノ。 |
■骨を増やすと言っても 本来の背骨はその10倍くらいあるのですが、 細かすぎるボーンを大量に使うと 交差領域が浅くなってしまい、 かえってひしゃげが目立ちます。 |
■再考 腕と足の可動範囲 ボーン変形で腕と足が鬼門となるのは、単純に可動範囲が広いからです。まづはその広さを再確認。 腕は鎖骨+肩関節によって前にも後ろにもけっこう動きますが、ねじりは前腕以外はそんなに回らず、 鎖骨の動きはやや小さめです。 脚は股関節自体が良く回り、スネや足首はそんなに回りません。前後の可動範囲は腕も脚もけっこう大きいです。 |
■副次的効果とか 肘〜手首まで少しずつねじると、 筋肉の流れっぽいウソ凸凹が生まれるのと、 ウソ関節で腕のしなりっぽい表現ができる。 ただし曲げすぎると骨折した人に。 |
■モデルデータ修正込みで調整する部分(4) 曲げ耐性を上げるのではなく、曲がる角度自体を小さくしてしまおうというアプローチ。 ・肘や膝は逆関節側には曲がらないので、曲げマージンが無駄になる ・あらかじめ軽く曲げておけば、まっすぐ腕や脚を伸ばした状態から曲げるより変化が小さくなる という思想。 ただMikotoでは縮む方向が縮むだけとゆーか、肉感的なぷにぷに押し出し感がないので、 お尻とかはちょっと不自然になります。上位ツールでは補正が効くようですが。 手足投げだしポウヅをベースにすると、肩は下げ方向に強く上げ方向にちょっと弱いです。 |
■Tスタンス アルファベットのTのように両腕を伸ばしており、 脚は閉じ気味なのでこう呼ばれる。 3Dモデリングでは基本ポーズらしい。 もう少し脚を開いて大の字にしたモノを 大の字ポーズと呼ぶかどうかはその人次第? ■抱きつきポーズ 腕や脚を前に投げ出して、膝や肘も軽く曲げている。 抱きつくというほどではないが、大の字と区別する為 こう呼ぶ場合もある、という程度の方言。 腕を下げた状態はペンギンみたいなのでそう呼ぶ。 わたしは以前は抱きつきポウヅを使っていましたが 身長やバランスが把握しづらくて服とか作るとき 面倒だったり、MAXとかに持っていく時直交座標系 (縦横がはっきりしたポーズ)でないと使いにくかったり ねじり方向にも若干弱い感じだったり欠点も多いので、 今は十字架ポウヅのみを使っています。 MAXは隆士郎のモノなので、自分ではいじれません。 MAX操作について指摘されるまでは 抱きつきポーズでした。 |
■ひしゃげ部分のごまかしと割り切り 蛇腹ボール割りやパンツライン割りをどれほど駆使しても、腕や脚を上げ下げすると潰れる部分が出ます。 1頂点に対するウェイトを同時に2個までしか設定できないMikotoでは、この辺が限界です。 しかし、隠れてしまうのなら、多少無理なひしゃげ方をしても見えないからいいやと 割り切ることができます。真面目な話、コレはけっこー重要です。 アンカーBOXの交差範囲を敢えて狭くします。 |
■綺麗な変形に見えても 脚の付け根の前面と側面は、実際は かなりひしゃげて胴体に食い込んでいますが、 折り曲げシワっぽい感じに見えなくもないです。 割り切り。 |
■鬼門の突破(1) 肩関節 複合ワザを駆使して、破綻が少なくなるようにしました。 ・蛇腹ボール割りで曲げ耐性向上 ・オーソドックスなT字ポウヅにより、腕を上下に(わりと)大きく動かせる ・鎖骨ボーンを入れることで、腕の上げ下げの曲げ角度の分散 ・鎖骨アンカーBOXを深く交差させて、上腕のねじり耐性向上 ・肩は交差領域を広めにして、伸びる方向の曲げ耐性向上 ・脇の下は交差領域をちょっと狭くして、縮む方向の曲げ耐性向上。ひしゃげを隠す意味もあり。 ・タンクトップとか肋骨ラインに沿った関節部分の面割りで、変形をより自然にする |
モノはダウンロードペイヂにアップしてあります。 現状ではコレがうちで一番綺麗に変形します。 ■注意点とか 汎用性を重視してTスタンスを用いていますが、 脇の下とかはあんまり色気をつけられません。 あと、ひしゃげない(ように見せる)ためには あちこちをひねったりしています。 腕を下ろす時は外側にちょっとひねり、 腕を前に上げたときは内側にひねるとか。 法線マップやモーフィングあたりを併用しない限り 筋肉の凸凹とひしゃげ回避を同居させるのは 無理なのではないかなー、とか思います。 |
■鬼門の突破(2) 股関節 こちらも複合ワザを駆使して破綻を減らしました。 ・蛇腹ボール割りで曲げ耐性向上 ・前面と側面アンカーBOXの交差を浅くしてひしゃげを隠す ・お尻側アンカー交差を深くして、伸びる方向の曲げ耐性向上 ・太腿アンカーBOXを深く交差させて、ねじり耐性向上 ・骨盤ラインに沿った関節部分の面割りで、変形をより自然にする ・パンツラインに沿ったアンカー配置で、下着の布が引っ張られすぎないようにする |
■注意点とか ・脚もまた、ひしゃげないようにひねっています。 |